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33才、高PRL・受精障害 (13.08.01)

子宝・不妊

Mさん、結婚9年目で33才。妊娠経験はないものの、「夫の(一般)精子検査は良好」とのことでした。ストレスが多くてイライラしており、基礎体温表(BBT)はギザギザ。月経血は黒ずみ、大きな塊があります。高プロラクチン血症による排卵障害で排卵誘発剤を2年間服用。そのためにBBTは全体的にとても高くのぼせ、唇や膣の乾燥、不眠など熱がこもった症状を訴えていました。

 

漢方では、低温期(卵胞期)の体温が高いと、質の良い元気な卵胞が育たないと考えています。そこで、補血剤をベースに、身体の熱を取る清熱剤、不眠・イライラを改善する補陰剤などを服用。症状は次々に改善しましたが、子宮筋腫や内膜症が見つかり手術することに。その後もお薬を続けられ、BBTも体調も文句なしの状態なのに妊娠には至りませんでした。

 

自然妊娠の希望でしたが「受精障害」を疑い、ご主人を説得して高度不妊治療に踏み切ることをお薦めしました。検査では右卵巣が小さく機能が低下している可能性を指摘されましたが、2年間漢方で腎(卵巣)を補い続けたのが功を奏し、左右の卵巣から22個もの卵を採卵することが出来ました。採卵直後には「たくさん取れました!5個だけ念のために顕微受精(ICSI)に回しました!」と弾んだ声で報告してくれました。

 

しかし、体外受精をした17個の卵は受精せず全滅。ICSIのうち3個がグレード1という結果に、彼女は落胆を隠せません。不妊原因は、やはり精子に受精させる力がない受精障害でした。新鮮胚移植では着床せず。2度目は着床したものの、心拍が確認出来ず流産に。翌月、最後の凍結胚を戻した所、妊娠。心拍も確認出来た!と喜びの報告を頂きました。

 

漢方薬での身体づくりと不妊治療の併用が成功したうれしい症例でした。このように、不妊治療でしか授かることが出来ないケースが少なからずあります。長期間の不妊は、何らかの原因が潜んでいます。ぜひご相談下さい!

 

(夏苅和子)

ながさきpress2013年7月号掲載

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