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2009年 不妊症中国研修 山東中医薬大学研修記~中西結合生殖医療の現場では~ (09.12.01)

勉強会・研修

今年の中医婦人科・不妊症研修(11/18~23)は、山東省の省都・済南の山東中医薬大学附属病院に行ってきました。

こちらの生殖センターは、中医薬系の附属病院では中国政府が許可した唯一の生殖補助医療(ART)の実施施設でもあります。

センターのマークは、左に精子が、中央には受精卵が描かれ、生殖医療そのものでインパクトがありました。

中医学・漢方薬で身体づくりしながら、人工受精や体外受精を併用し成果を上げています。

センター長の連方教授と男性不妊の研究をされている孫先生の臨床研修と講義、30歳1児の母である斉先生のご案内で病棟見学をさせて頂きました。

 

外来には精子運動率が低い男性や子宮内膜症、多嚢胞性卵巣、卵管閉塞、多発性子宮筋腫など、男女を問わずたくさんの方が相談に来ていました。
 孫先生は、「体外受精の成功率は20%。よく考えて…」と夫婦での話し合いに任せていました。午後は連教授の中西結合の講義。

たくさんのスライドと筆記で大変でしたが、また新たな発見が あり、とても収穫の大きい研修になりました。


病棟では流産歴4回という29才の女性が妊娠56日目で入院中。腰痛を訴えていました。

腰痛は「腎虚」の赤信号! 腎機能の一つである「固摂作用」は、胎児が子宮から流れてしまわないように留め置く働きですが、腎気が弱く「胎動不安」を起こしているのです。

「胎盤が形成されるまで3ヶ月の入院を」ということで、彼女には中西結合の方針で、安胎の漢方薬と黄体ホルモンが処方されていました。

過去流産経験のある人は、前回流産した周期+2週間を過ぎればひとまず安心だとも聞きました。


病棟では、卵巣早衰にもかかわらず、無事自然妊娠した27才の女性が入院していました。 彼女の母親は、妊娠した事に気づかず40日目まで避妊薬を服用していたそうです。
その影響もあってか、生まれながら腎(ホルモン系)が弱く、初潮から生理は2~3ヶ月に1度で、20才の頃から4年間、薬で生理を起こしていました。

翌年に卵巣嚢腫の手術を受けましたが、 術後FSH値は「閉経後」を示す165にもなっていました。

これでは妊娠どころか、自然の生理は望めません。

 

そこで西洋医学でのカウフマン療法と、その治療を支える漢方薬として、補腎陰と補腎陽の薬を交互に3年間併用しました。

中西結合医療で徐々にFSHが下がり、妊娠前には6.8までに!!

病院の先生方も「この症例はすごくうまく行った例だ」とは仰っていましたが、そのうちなんと自然妊娠したのです!

妊娠は出来ましたが、腎虚による腰痛があり、黄体ホルモン値も低いため、妊娠後もホルモン補充しながら、 赤ちゃんを守る「安胎」の漢方薬を継続していました。

 

 私達も不妊治療を受けている方や、治療をしてもなかなか結果が出ない方に、漢方薬の併用をお勧めしています。 ぜひ、ご相談下さい。

夏苅竜子

ながさきプレス2010年1・2月号 掲載

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