TOPICS

エコノミークラス症候群 (16.04.20)

気になる症状

熊本を中心に発生した大きな地震。皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
龍虎堂のある長崎は大きな余震には見舞われていませんが、小さな揺れを感じるたび、報道を見るたび、被災地域の方の安否を気遣わずにはいられません。

4月20日現在、被災地で車中泊する人の中でエコノミークラス症候群で亡くなった方が6人もいるという報道がありました。搬送されたのは11人、全員女性とのこと。
エコノミークラス症候群とは、下肢が鬱血して血栓ができる『深部静脈血栓症』と、血栓が移動して肺動脈に詰まる『肺塞栓症』を合わせた呼び名です。報道では「女性がエコノミークラス症候群を発症するのは、トイレに行かないよう水分摂取を控えているのが原因では」という医師のコメントとともに、現地のトイレ整備が急務であることと、予防のために数時間おきに体を動かすこと、水分をこまめにとることを呼び掛けていました。

エコノミークラス症候群を中医学でみると「お血(おけつ)」「お血」とは勢いのないドロッとした血液、血流がゆっくりの状態をいいます。正常な血液は勢い良く血管内を流れているのですが、鬱血=血流がゆっくりになったとき、血管壁に傷があると血小板がくっついて血栓をつくります。エコノミークラス症候群を起こしやすい人は慢性的に「お血」で、血管が脆く傷つきやすい人といえます。

《お血の特徴》
顔色がどす黒い/皮膚が粗い/目に隈がある/唇が紫色/舌の裏の静脈がはっきり浮き出ている/シミ、そばかす/手の平に紅斑がある/アザ ができやすい/肩コリ、頭痛/体の痛み、痺れ/手足が冷える/脚に静脈が浮き出ている/痔がある/月経血の色がどす黒い、塊が混じる/生理痛がある 
など

漢方薬は「冠元顆粒」など「活血化お剤」と呼ばれるものが「お血」をサラサラにし、血流を良くします。「麦味参顆粒」など血液中の水分を増やす「補陰剤」も併せて使うとさらに効果的。水分補給は「温かいか常温で、少量を、こまめに」がポイントです。とはいえ、災害のように強いストレスにさらされた環境では養生どころではないですね。

たとえば身近な人同士で脚や肩などのマッサージをするのはいかがでしょうか。筋肉を揉むことだけでなく、人間の体に流れる「気」が手の平から伝わり、血流 を良くしたり発散を助けたりするのです。これは特別な力でもなんでもなく、お腹が痛いとき手を当てる、子供を寝かしつけるのにポンポンと体を叩いたり頭を 撫でてあげるなど、誰でも経験のあることのはず。「ふれあい」「手当て」は人薬(ひとぐすり)。気持ちが落ち込むとき、不安でたまらないとき、どうか一人で抱え込まず他の人と交流してください。
一日も早く事態が収束し、平穏な毎日が戻ることを願っています。

(スタッフ:春田有紀子)

一覧ページへ戻る

このページのトップへ戻る