毎年恒例の本場・中国での不妊症研修。
今回お邪魔した湖南中医薬大学付属病院は「中医臨床研究拠点」に指定されている国家レベルの大病院で、最新の機器を駆使し中医学+西洋医学の中西結合で治療に当たっています。
元院長でもある婦科(産婦人科)主任教授・尤昭玲先生の元には国内はもちろん、世界各国からも研修団が訪れるそうです。
近年、中国では一人っ子政策が緩和され「もう一人…」と40代の高齢患者が増えているとか。
初日は尤先生の卵胞発育異常の講義と臨床研修。
翌日は病棟見学と盆腔炎(子宮内膜症や腺筋症をはじめとした骨盤内炎症の総称)の講義、更に臨床研修…と、朝8時半~夕方5時まで丸2日間みっちり研修でした。
卵胞の発育異常には大きさや時間、数や形の異常などさまざまなものがありますが
①十分な卵巣機能
②性腺軸(脳-卵巣の指令系統)の充実
③卵巣の血液循環がよく、酸素や栄養・脳からのホルモンがしっかりと卵巣まで届くこと。
この3つの条件を揃えること。
長年の研究成果である「弁卵調胞六法」(卵胞発育不全に対する対処法)を直々に教えて下さいました。
臨床研修では問診や基礎体温表を診ながら励ましたり、勇気づけたり…1日7~80人を診る中でもまるで母のようなまなざしで、1人1人丁寧にカウンセリングをし、患者さんと向き合っている姿が大変印象深く残りました。
卵巣(腎)を補い、血行をよくする煎じ薬を中心に月経周期や状況に応じた薬膳が処方されていましたが、店頭にある中成薬(製品化された漢方薬)で十分対応できるものでした。
漢方には「似臓補臓」といって、弱っている臓腑と同じものを食べて補うという考えがあります。
卵にはやっぱり「たまご」が良いそうで、それも“淫禽”といわれるうずらの卵が最高だとか。
そんなちょっと面白い話も聞きながら今回も新たな発見や多くの見識を得る事ができ、実り多き研修となりました。
日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー 夏苅竜子
ながさきプレス2015年2月号 掲載