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ココロと身体の関係 (16.07.19)

心・自律神経

中医学では感情を「喜・怒・思・憂・悲・恐・驚」の7つに分け、「七情」と呼んでいます。生きていれば、これらの感情は誰でもあるものです。よく「病は気から」といいますが、突然の強いショックや長期に渡って精神的なストレスを受け続けると、気血のめぐりや五臓六腑に影響を及ぼし、あらゆる不調や病気を引きおこすと考えています。この理論が確立されたのは二千年も前。「ストレス」という言葉が生まれるずっと昔から、人々は感情と病気・身体の不調の関係に悩まされ続けてきているのが分かります。中でも特に影響を受けやすいのは、肝。そして心と脾の機能です。「これって、七情(ストレス)の影響なの?」と意外に思う症状もあるでしょう。

 

ストレスを一挙に受ける~肝のトラブル             

イライラ、憂うつ/頭痛、めまい/生理痛/肩こり/生理不順/血圧の上昇/のどの閉塞感など

肝は西洋医学でいう肝臓の働きだけでなく、気血の流れの調整 、情緒の安定と自律神経のコントロール、血液の貯蔵など大切な役割を担っています。その一方でストレスのダメージを一番受けやすいという弱点も。肝の機能が失調すると、情緒の不安定や血行不良による痛みの症状、生理不順、胸や脇腹の脹り、筋肉のけいれんやつり、爪のトラブルなどを引きおこします。肝の健康を守るには、酸味と香りの良いものを摂り、血液不足を治すこと。ストレスはこまめに発散を!

おすすめの漢方薬は、逍遥丸、婦宝当帰膠、瀉火利湿顆粒など

 

ストレスがココロにくる~心のトラブル

動悸、不整脈/胸苦しい、胸痛/不安感、焦燥感/不眠、夢が多い/物忘れ/集中力の低下 など

中医学では心は全身に血液を送る“心臓”の役割、感情や思考など精神活動の中枢を担っており、“大脳”のような働きを持っていると考えています。正常に機能していれば、血液循環は順調で精神状態は穏やかに安定し、心身共に健康です。しかし、直接的なダメージや、肝の不調から心を養えなくなると心臓の不調や様々な精神症状、脳の機能低下などがあらわれます。心臓にパワーがあり、みずみずしく元気な血液が全身にくまなく届けば、心身の健康を守ることができます。

おすすめの漢方薬は、天王補心丹、麦味参顆粒、心脾顆粒など

 

ストレスが胃腸にくる~脾のトラブル                                  

胃痛、腹痛/胃のムカつき、胸やけ/食欲不振/胃もたれ/下痢、便秘/ゲップ、ガス/逆流性食道炎 など

脾は西洋医学でいう“胃腸機能”に相当します。食べた物を消化・吸収し、エネルギーや血液を作り出す大切な役割を担っています。体質的に脾が弱い時や“肝”のダメージが強すぎると脾に影響し、さまざまな胃腸の不調に見舞われます。 心配事やストレスからくる食欲の低下、胃痛やムカつき、下痢、逆流性食道炎などは典型的な肝→脾のトラブル。胃腸だけの問題と考えず、ストレスを和らげる疏肝薬を使うことで胃腸もココロも同時にスッキリ治ります!

おすすめの漢方薬は、健胃顆粒、開気丸、健脾散など

 

症状の悪化や他の病気を予防するためにも、早めにご相談下さいね。

 

ながさきpress「漢方のチカラ」2016.5月号より

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